矯正歯科医院で
働くことの魅力

歯科・矯正歯科アールクリニック 院長の折田隆二です。矯正歯科医院では歯科衛生士がどのような仕事をしているかご存じですか?

ほとんどの歯科衛生士さんは知らないと思います。矯正歯科は未知の分野で不安を抱く方が多いのではないでしょうか。

「矯正治療ってドクターが全部やるんだよね?衛生士は必要ないよね?」

「矯正治療のアシスタントはしたことがないし、今から勉強するのは不安だなあ......」

しかし、私は衛生士の皆さんに自信をもって言います。

「矯正歯科医院では歯科衛生士をものすごく必要としていて、矯正歯科医院での歯科衛生士の仕事は、とてもやりがいのある仕事です!さらに矯正歯科医院ではドクターではなく、歯科衛生士が主役なのです!」


それでは矯正歯科医院での歯科衛生士の仕事内容を、詳しく説明させていただきます。矯正歯科医院で働く衛生士さんは、下記のように考えている方に向いています。

「毎日の仕事が単純で、衛生士の資格を生かしているとは思えない。道具として流れ作業をやってるみたい。」

「職場に笑顔がなく、仕事に行くのが憂鬱になるときがある。」

「患者さんにクレームは言われても感謝されることはない。」

「結局、治療の主導権はドクターにあるので、歯科衛生士は脇役にすぎない。」

「人と関わる仕事だから、もっと多くの人とコミュニケーションをとって、楽しく仕事がしたい。」


私が歯科衛生士さんに矯正歯科医院での勤務をお薦めする理由は、とてもたくさんあります。

1番の理由は、はっきりいって患者さんに素晴らしい方が多いことです。

矯正治療を受ける患者さんは大変です。私たちからも矯正治療の大変さを伝えられ、それでも大丈夫という人たちが治療を受けるのです。患者さんは痛みを避けるために矯正治療を受けるのではなく、矯正治療という困難を乗り越えるという目標を持っているからこそ、素晴らしい方が多いのではないでしょうか。

また矯正治療は長い患者さんで10年以上のお付き合いになりますので、患者さんの成長を感じたり、同級生などの友人や学校の先生と同じような感覚で親しくなれます。


2番目のお薦めの理由は、歯科衛生士としての高い能力を引き出すことができるからです。

矯正治療中の口腔内は、当然ハイリスクな状況になりますので、ブラッシング指導はもちろん、フッ素やキシリトールなどの予防の知識が必要になります。またペリオに問題のある症例も治療しますので、歯周病の管理なども一緒に勉強していきたいですね。

矯正装置が付いている口腔内を徹底的にクリーニングすることも楽しい作業です。矯正治療後の患者さんに対して、クリーニングやホワイトニングをすることもあります。患者さんの口内環境を整え、健康や美容をサポートするのも、この仕事のやりがいの一つと言えます。


そして、これは矯正歯科医院特有の歯科衛生士にとって重要な仕事にMFTがあります。

MFTとはMyo Functional Therapyの略で、嚥下の際に舌を歯と歯の間に挟む癖や歯を押し出して歯列を悪くする癖を改善していくトレーニングのことです。

開咬や反対咬合などの歯並びでは、このような舌の悪習癖があるのが通常で、舌で歯を不正に押し出してしまい、矯正治療後の歯並びに悪影響を与えることがあります。

歯並びは、嚥下や発音に大きな影響を与えますので、患者さんと一緒にトレーニングを行い、正しい嚥下方法を指導していくのです。MFTはとても奥が深く、セミナーがあるとすぐに会場が満席になってしまうくらい人気があり、多くの歯科衛生士に注目されている分野なのです。


矯正装置の交換なども行っていただきます。矯正装置に関しましては、基本的にドクターの仕事ではありますが、徐々に歯が動いていくのを患者さんと一緒に喜ぶことできます

熟練した衛生士であれば、治療の流れを把握し、歯の移動のためにドクターが何を求めているか、瞬時に判断することできます。

そして歯科衛生士の仕事として最も重要なのは、コミュニケーションです。

矯正歯科医院で働くということは、患者さんに尊敬されなければなりません。それは、いわゆる一般的なサービス業とは違い、患者さんに指導したり、誤りを指摘しなければならない立場にあるからです。学校の先生のような立場だと考えてください。

つまり私たちは顧客である患者さんに対して、あえて不愉快なことを言わなければならないときもあるのです。


例えば、難しいブラッシング法を指導しても、やはりブラッシングの悪い患者さんには、そのことを指摘しなければなりませんし、予約を守らない患者さんや遅刻する患者さんに対しては、治療できないことを伝えなければなりません。

このような仕事をするには、患者さんと信頼関係を築くことが大切です。信頼関係を築くには、矯正治療に関して専門用語を使わずに、分かりやすく説明することはもちろん、笑顔で優しく伝える必要があります。また日常の診療で、患者さんから会話を引き出し、何でも話せるような雰囲気づくりをしていきます。

患者さんと信頼関係を築ければ、ブラッシングや矯正装置に対する協力度が高くなります。逆に患者さんの協力度が低くなれば、矯正治療が遅れるだけでなく、矯正装置が原因で多くのカリエスを作ってしまうことになるかもしれません。


いかがでしたか?矯正歯科医院で働くやりがいは、他にもたくさんありますが、なんとなく楽しそうだということが分かっていただければ幸いです。